そんな疑問に『繊細な心の科学-HSP入門』はお答えしています。
※HSPを知らない方は、こちらの記事を読んでいただくと本記事が読みやすくなるので、あわせて読んでみてください。
・繊細な自分を知る(1)人に対する繊細さ
・繊細な自分を知る(2)感覚の敏感さ
・繊細な性格を知る(1)類型論
・繊細な性格を知る(2)特性論
・繊細さのメカニズムを探る
・繊細さと思春期
・繊細な自分を守るためのセルフケア
上記の内容から
本書を読むことで、心理学としてのHSPを深く学ぶことができ、自分の繊細さについて詳しくなることができます。
・心理学的な繊細さを学びたい人
・繊細さのメカニズムを知りたい人
・HSPに詳しくなって自己理解を深めたい人
こういった人に本書はおすすめです。
それではいきましょう。
目次
『繊細な心の科学-HSP入門』について
著者:串崎真志さん
Masashi Kushizaki, Ph.D. – 串崎真志 – Google Sites より引用
・関西大学文学部教授
・ NPO法人寺子屋ひゅっげ 副理事長
・日本では数少ないHSP研究者
串崎先生はHSPの研究者として様々な論文や著書を出されている一方、 「NPO法人寺子屋ひゅっげ」ではカウンセラーとしても実際のHSP当事者の方の相談にも乗られています。
「NPO法人寺子屋ひゅっげ」ホームページでは、随時カウンセリングのお知らせを更新されているので気になった方はぜひチェックしてみてください。
本書の特徴
本書の特徴は以下の3つです。
特徴①:心理学的な繊細さについて理解できる
特徴②:繊細さの仕組みを学べる
特徴③:繊細さの対処法を身につけられる
特徴①:心理学的な繊細について理解できる
第1章〜第4章では、心理学の観点から繊細さについて理解することができる内容になっています。
✔繊細な人の脳
✔環境感受性
✔4つの気質に分かれる
✔HSPとビッグ・ファイブ など
このように本格的な心理学の内容から「HSP」という概念を学ぶことができます。
ただ、難しい内容ではなくわかりやすい解説がついているので、心理学をまったく学んでいない人でも十分理解できる内容になっています。
特徴②:繊細さの仕組みを学べる
HSPは人の気持ちを受け取りやすく、これを心理学の世界では「情報伝染」と呼んでいます。
そこで第5章〜第6章では、この「情報伝染」のメカニズムについて詳しくなることができます。
✔表情の自動模倣
✔心臓の鼓動の同期
✔HSPと思春期
✔ピア・インフルエンス など
「情報伝染」は体の仕組みと密接に関係しているので、上記の内容を学ぶことによって論理的に繊細さのメカニズムついて理解することができます。
特徴③:繊細さの対処法を身につけられる
最後の第7章では、これまでの学びを踏まえて上でのHSPが抱える生きづらさを解消法を身につけることができます。
✔認知の歪みに気づく
✔言葉の力
✔オフラインにする
✔副交感神経系を高める など
上記のような内容から、心理学の根拠に沿った対処法を紹介しています。
なので、しっかりと実践していけば確実に効果が期待でき気持ちよく生活ができるようになるはずです。
『繊細な心の科学-HSP入門』の学びポイント3選
学びポイント①:情動伝染
「HSPは共感力が高い」
HSPの人であればこういったことを1度は聞いたことがあるはずです。
では「なぜHSPは共感力が高いのか」について考えたことはあるでしょうか?
本書ではこの疑問を心理学の視点から根拠を持って解説しています。
結論を言うと、HSPの人が共感力が高い理由は「情動伝染が生じやすいから」と本書では言っています。
おそらくこう言われても、あまりピンと来ないですよね…
「情動伝染」というのは心理学の世界で使われる言葉で「気持ちが人から人へと伝わる現象」のことを言います。
また、この「情動伝染」は共感の一部でもあります。
例えば、最近以下のような経験があったかを振り返ってみてください。
・誰かにわくわくしていたら、私もわくわくした。
・誰かに無下にあしらわれているのを見て、動揺してしまった。
・他の人たちが悲しい思いをしていると、彼らがそれを口にしなくても、私にはわかった。
・私の「波長」が他の人たちの気分に合っていると、私にはわかった。
これは「トロント共感質問紙」と言われるチェックリストの一部だそうです。
HSPの人であればこのチェックリストの多くに当てはまっていたのではないかと思います。
つまり、情動伝染が生じやすいと言われるのは、
上記のチェックリストに当てはまる「相手と同じ気持ちになりやすい」ことを指します。
これが「HSPは共感力が高い」と言われる正体になります。
また、さらに深堀りして「どうやって気持ちが人から人へと伝わるのか?」の情動伝染のメカニズムについても本書ではさらに深く解説してくれています。
気になった人は、本書の第5章で詳しく載っているので続きはぜひ手にとって読んで見てください。
さらに納得感を持って理解することができるはずです。
学びポイント②:環境感受性
次も聞き慣れない言葉を紹介します。
それは「環境感受性」です。
本書から引用して説明すると、
環境が良ければ、人よりも(心理的・社会的)適応がぐんとよく、環境が悪ければ人よりも適応がぐんと悪い。
これを「環境感受性」と言い、HSPの人と深く関わっています。
グラフで表すとイメージがしやすいと思うので、以下を参照してみてください。
グラフからもわかるように、HSPは自分が置かれている環境がよければよいほど、人(非HSP)よりも力を発揮することができるのです。
逆に言えば、環境が合わないと力の発揮が極端にできなくなります。
それくらいHSPの人にとって自分の身を置く環境は重要であることがわかります。
では、よい環境とはどのようなものなのでしょうか?
本書では以下のように言っています。
ここでいう環境には、人との出会いも含まれます。自分をしっかり認めてくれる人に出会うこと。そうすれば、自分の感覚を信頼する力が生まれます。
環境というのは住んでる場所や働く場所以外の、「社会環境」といった広い意味で使われていることがわかります。
つまりトータルバランスで環境を良くしていくことが大切です。
このことから、HSPは環境に対して良くも悪くも影響を受けやすいことがわかったはずです。
内面だけでなく「周囲の環境」にも意識を向けて改善するようにしてみましょう。
学びポイント③:HSPとビッグ・ファイブ
また最後も心理学の世界で使われる言葉を紹介します。
それは「ビッグ・ファイブ」と呼ばれる※特性論の中で最も有名な性格論の内容です。
※特性論とは
特性論とは、性格をいくつかの要素に分け、その要素がどの程度備わっているかという側面から性格をとらえる考え方です。たとえば、「鈴木君は温厚でまじめだが、些細なことを気にしやすい」といった際、これは鈴木君の性格を『温厚』『まじめ』『些細なことを気にする』という要素で表現していることになります。
「ビッグ・ファイブ」とは、5つのスペックで個人の性格をあらわしています。
以下に本書から引用して紹介します。
・気持ちの不安定さの程度(神経症傾向)
・社会的で周りの人と馴染みやすい程度(外向性)
・感情を制御したり、衝動を我慢したり、物事をしっかり考える程度(統制性)
・利他的で人を励ますのに長けている程度(協調性)
・他の人にないような独創的な発想をする程度(開放性)
このようなタイプに分けられます。
そこでですが、HSP気質をもつ繊細な人は「ビッグ・ファイブ」の中のどのようなタイプに当てはまるかわかるでしょうか?
なんとなく予想がつく人もいると思いますが、
結論は「神経症傾向」と「開放性」に当てはまる人が多いそうです(HSPの子どもは神経症傾向のみ)。
この根拠は、イギリスの心理学者フランチェス・リオネッティ氏がHSPの人を対象にして行った研究結果から結論づけています。
※ちなみに日本の研究でも同じような結果が出ているそうです。
上記の研究からもわかるように「ビッグ・ファイブ」からみるHSPは「気持ちが不安定になりやすい」「想像力が豊か」といった特徴の人ということがわかります。
つまり、HSPは変わった人ではなく性格のひとつにグルーピングされる特徴を持った人ということです。
もしHSPにマイナスイメージを持ってしまっている人は「ビッグ・ファイブ」のひとつの性格に当てはまるだけのものなんだと考えて、少しとらえ方を変えてみましょう。
『繊細な心の科学-HSP入門』のまとめ
『繊細な心の科学-HSP入門』のポイントについてここで、再度まとめておきます。
学びポイント①:情動伝染
HSPは「相手と同じ気持ちになりやすい」という情動伝染が生じやすいため、共感力が高いと言われている
学びポイント②:環境感受性
HSPは自分が置かれている環境がよければよいほど、人(非HSP)よりも力を発揮することができる
学びポイント③:HSPとビッグ・ファイブ
「ビッグ・ファイブ」という性格論からからみるHSPは「神経症傾向」と「開放性」に当てはまるという研究結果が出ている
実際の本書には、ここでは紹介しきれなかったすばらしい内容が盛りだくさんなので、気になった方はぜひ読んでみてください。
きっと自分の繊細さに詳しくなり自己理解が深まるはずです!
今回は以上です。
ここまで読んでいただきありがとうございました。