そんな悩みに『過敏で傷つきやすい人たち』はお答えしています。
※HSPを知らない方は、こちらの記事を読んでいただくと本記事が読みやすくなるので、あわせて読んでみてください。
・「過敏性」とは何か
・あなたの過敏性を分析する
・過敏性のメカニズムと特性を知る
・発達障害と感覚処理障害
・愛着障害と心の傷
・過敏性が体に表れる
・過敏な人の適応戦略
・過敏性を克服する
上記の内容から
本書を読むことで、過敏性に関する研究成果や臨床的知見、身近な具体例などから有効な対処法を理解することができます。
・臨床的知見から過敏性のメカニズムを知りたい人
・過敏性の知識をとおしてさらに自己理解を深めたい人
・過敏性とうまく付き合う方法について知りたい人
こういった人に本書はおすすめです。
それではいきましょう。
目次
『過敏で傷つきやすい人たち』について
著者:岡田尊司さん
・精神科医、医学博士、作家
・山形大学の客員教授としても活動
・京都大学医学部卒業
上記からもわかるように、岡田先生は精神医学やメンタルヘルスに関して実績のある精神科医です。
実際に発達障害やうつ病のような気分障害といったテーマに関する本も出版されています。
以下に岡田先生が院長を勤める「岡田クリニック(心療内科)」のHPを載せておくので、気になった方はぜひチェックしてみてください。※大阪府枚方市にあります。
本書の特徴
本書の特徴は以下の3つです。
特徴①:過敏性の仕組みについて理解できる
特徴②:過敏性と関連する疾患や障害について学べる
特徴③:過敏性との付き合い方を身につけることができる
特徴①:過敏性の仕組みについて理解できる
「過敏性てなんだろう?」
このように疑問を持つ人が多いかと思います。
結論は「過敏性=HSP」ととらえてもらって大丈夫です。
そこで本書の第1章〜第3章では、この過敏性の概要やメカニズム、特性について詳しく説明してくれています。
✔過敏な人はどれくらいいるのか
✔過敏性は心身の不調にどう影響するか
✔神経学的過敏性と心理社会的過敏性
✔過敏になったとき何が起きるのか など
上記のような内容から、科学的根拠に基づいて解説してくれているので、かなり深い知識を得ることができます。
特徴②:過敏性と関連する疾患や障害について学べる
第4章〜第5章では、過敏性と親和性のある精神疾患や障害について学ぶことができます。
✔発達障害も愛着障害も過敏症の原因になり得る
✔過敏症を生じる他の疾患とは
✔あなたは不安型か回避型か
✔愛着不安と心配性 など
このように、主に発達障害や愛着障害のような疾患・障害と過敏性の関係性について理解できる内容になっています。
特徴③:過敏性との付き合い方を身につけることができる
これまで紹介した第1章〜第5章は、過敏性についていろんな視点から理解を深める内容でした。
そして残りの第6章〜第8章では、その過敏性とどう付き合っていけばいいのかについて、対処法を身につけることができる内容になっています。
✔過敏さが体に影響した夏目漱石
✔過敏さとどう付き合うか
✔ボーッとすることも大切
✔安全基地>認知>過去の境遇 など
特に第8章に関しては、第1節〜第3節と細かく分けて説明されているので、納得感を持って対処法を学ぶことができます。
『過敏で傷つきやすい人たち』の学びポイント3選
学びポイント①:感覚プロファイルと四つの因子
本書ではHSPのことを「過敏性」と表現していますが、その自分が持っている過敏性を評価する方法を紹介しています。
それが「感覚プロファイル」と呼ばれる方法です。
これは、感覚の過敏性を評価する方法で、神経学的な知見と感覚統合理論をベースに作られたものと言われています。
そしてこの「感覚プロファイル」を活用することで、
・行動反応
・自己調節
これら2つの度合い(高いか低いか)がわかり、自分の感覚の過敏性を把握することができます。
また、この「感覚プロファイル」で評価すると過敏性は4つのグループに分けられると本書では言っています。
①感覚探求
→刺激に対して閾値(しきいち)が高く、弱い刺激では反応せず、かつ能動的な反応を示すもの
②低登録
→刺激に対して閾値(しきいち)が高く、かつ受動的な反応を示すもの
③感覚回避
→刺激に対して閾値(しきいち)が低く、鋭敏で、かつ能動的な反応を示すもの
④感覚過敏
→刺激に対して閾値(しきいち)が低く、かつ受動的な反応を示すもの
上記のように分類されます。
ただ、こう説明されてもおそらくあまりピンとこないでよね…
そこでそういった人のために、本書では上記4つのグループそれぞれにチェックリストが用意されています。
このチェックリストはとてもわりやすい表現になっているので気軽に誰でも使うことができます。
例:「感覚探求」のチェックリスト
□香辛料やスパイスをかけるのが好き
□体を動かしたり、ダンスをしたりするのを好む
□地味な色合いより華やかな色彩に惹かれる
□話をしているとき、相手の体を触ってしまう
□人前で注目を浴びるのが好き
※当てはまる項目が多いほど、そのグループの傾向が強いと考えられます。
このような感じのチェックリストがそれぞれにあるので、自分がどのグループに当てはまるのか気になる人は、ぜひ実際の本書で確認してみてくださいね。
学びポイント②:過敏さとどう付き合うか
本書では過敏さがマイナスに働いてしまう人のために、過敏さとの上手な付き合い方について紹介しています。
結論、過敏さ自体は悪いものではないので、具体的な付き合い方がわかれば、過敏さはプラス方向へ活かすことができると本書では言っています。
具体的には3つの方法があると本書で言っているので参考にしてみてください。
本書からその内容を一部引用します。
①刺激量を減らす
BGMを流しっぱなしにしたり、テレビをつけっぱなしにすることは避け、今、取り組んでいること以外のものは、机の上にもできるだけ置かないようにします。窓にもカーテンを引き、部屋の明かりも明るすぎないように調節します。音に特に過敏な人では、ノイズキャンセリング機能のあるイヤホンやイヤマフを使ったり、二重サッシにすると楽でしょう。
②刺激を予測のつくものにする
秩序が保たれ、予測ができるようになると、同じことが起きても、その苦痛は半減するのです。しかも、それが毎日の習慣となることで、刺激というよりもルーティンとなり、不快さよりも安心感をもたらすようになります。
課題に取り組む場合も、時間や場所を決め、決まった儀式のように行うのです。
③安全限界を超えない
イライラにや疲労感、集中力の低下は、限界を超えつつある兆候としてもっともよくみられるものです。
これまで楽しかったことが楽しくなくなったり、重荷に感じられたりするのも、負荷が限界に近付いていることを教えてくれています。極端で、悲観的な考えにとらわれたり、投げやりになったりすることも、過敏な人が頑張りすぎているときにみられやすい兆候です。
どうでしょうか?
上記からもわかるように、過敏な人は外部の刺激とうまく付き合うことが重要であることがわかったと思います。
本記事では一部引用しただけですが、実際の本書にはもっと詳しく説明してくれているので、もっと深く学びたい人は、ぜひ手にとって続きを読んでみてください。
学びポイント③:肯定的認知を高める方法
学びポイント②では「過敏さとの付き合い方」について紹介しましたが、それに加えさらに幸福になるにはどうしたらいいのかについてここでは紹介します。
結論を言うと「肯定的認知」を高めることです。
もう少し簡単に言うと「前向に物事をとらえよう!」ということですね。
当たり前のように聞こえるかもしれませんが、実際にこれまで多くの研究で、「肯定的認知」を持つことは重要であることが裏付けられています。
そして「肯定的認知」を高めるメリットは以下の通りです。
・気分を良くし意欲を高める
・対人関係や社会適応を改善し、幸福や成功のチャンスを増やす
上記のようなメリットが研究で証明されていると本書では言っています。
では、具体的に肯定的認知を高めるにはどうしたらいいのか気になりますよね。
そこで本書では、肯定的感情を増やすためのエクササイズを3つ紹介しているので参考にしてみてください。
①希望のエクササイズ
自分がどうなりたいのか3年後、10年後の理想の自分について書いたり、語ったりする
②親切にするエクササイズ
他の人に対して親切な行動をとる※他人によりも家族に親切にするほうが効果はより得られやすい
③感謝するエクササイズ
週に1度、生活を振り返りながら、人からしてもらった良いことを思い出しそれに感謝する
※上記3つの方法どれも研究結果に基づいたエクササイズになっています。
ざっくり説明するとこのような内容です。
これだけだとあまり納得できない人もいるかと思いますが、実際の本書ではもっと詳しく説明されているので安心してください。
しっかり納得感を持って理解することができる内容になっているはずです。
『過敏で傷つきやすい人たち』のまとめ
『過敏で傷つきやすい人たち』のポイントについてここで、再度まとめておきます。
学びポイント①:感覚プロファイルと四つの因子
チェックリストを活用することで、自分の過敏性を評価することができる
学びポイント②:過敏さとどう付き合うか
過敏な人は外部の刺激とうまく付き合うことが重要
学びポイント③:肯定的認知を高める方法
3つのエクササイズを行うことで、肯定的認知が高まり前向きな気持になる
実際の本書には、ここでは紹介しきれなかったすばらしい内容が盛りだくさんなので、気になった方はぜひ読んでみてください。
きっとマイナスだと思っていた過敏性がプラスの力に変わっていくはずです!
今回は以上です。
ここまで読んでいただきありがとうございました。